石井武寿税理士事務所 > 記事コンテンツ > 顧問契約とスポット契約の違いは?
税理士との契約には主に二つの形があります。
一つ目は、月々の基準で契約し、税務・会計の全体的な業務を税理士に委託するものです。二つ目は、一年に一度だけ税理士のサービスを利用するスポット契約となります。
一年に一度だけの契約では、税理士の仕事は決算書と申告書の作成に限定されます。
一般的には、税理士との関係としては前者の月次契約が多く、スポット契約は一部の事務所でしか受け入れていない場合もあります。
この記事では、スポット契約と顧問契約との違いについて紹介します。
①スポット契約の範囲
スポット契約を利用すれば、個々の確定申告等の業務を一度に、または限定的に税理士に依頼できます。
年次の申告期間に、所得税や法人税等の申告書類の作成を依頼するケースが最も一般的です。
スポット契約という性質上、得られるサービスは限られます。
作成された申告書に対する質問は答えてもらえますが、その他の節税策などについてのサービスは期待できません。
②スポット契約の長所
スポット契約の一番の利点は、顧問契約と比べてコスト(報酬)が安く抑えられる点です。
新しく起業したばかりで資金に余裕がない、または事業規模がまだ大きくない段階では、必要な業務だけ税理士に依頼するのが良い選択です。
また、スポット契約では、追加のサービスが提供されることはほとんどないため、必要な業務だけを依頼したい場合には適しているといえます。
③スポット契約の短所
例えば、申告書の作成だけをスポット契約で依頼すると、会計処理(記帳)は自己責任となります。
専門知識がない場合、処理にミスが生じ、結果的に誤った申告書が作成されるリスクがあります。
税理士が決算期に一年分の会計処理を全て確認するのは困難であることを理解しておくべきです。
さらに、節税策を施行するには、一年や場合によっては数年の準備が必要となることもあります。
決算期だけ対応するのでは、税の専門家であっても限界があるということです。
①顧問契約を通じて税理士に依頼可能なこと
顧問契約の場合でも、提供されるサービスは会計事務所や契約内容により異なり、選び取ることも可能です。
通常、以下の業務を依頼することができます。
・申告書類、決算書類の作成
・記帳代行(記帳内容の随時確認)
・節税対策の実施
・資金調達の支援
・経営アドバイス
・税務調査(※)への立会い(スポット契約でも依頼可能)
※税務調査:国税局や税務署が、納税者の税務申告が適切であるかを確認するために行う調査です。税務署が行う任意調査と、国税局査察部が行う強制調査が存在します。
②顧問契約の長所
顧問契約を結ぶと、必要なら全ての会計・税務関連の業務を専門家に任せることが可能で、経営者は主要な業務に集中できます。
経営に関する疑問や懸念が生じた際には、電話やメール、定期的な面談を通じて質問を行い、自社事業を理解するプロから経営に関する様々な助言を受けることができます。
③顧問契約の短所
スポット契約とは対照的に、多岐にわたる業務を依頼するためには相応のコストを見込む必要があります。
財政的に余裕がない場合には、毎月発生する顧問料が経営上の負担となる可能性もあります。
法人に限らず、個人事業主でも、資金状況に余裕があれば、節税対策やビジネスに対する具体的な助言などを得られる顧問契約を締結するのが有益と言えるでしょう。
ただし、契約を結ぶ際には、税理士や会計事務所が自分のニーズと合致しているかをきちんと確認することが重要です。
石井武寿税理士事務所は幅広い業務で企業の税務処理をサポートします。お気軽にご相談ください。