石井武寿税理士事務所 > 記事コンテンツ > 法人の決算申告に必要な書類や流れについて
株式会社などの法人は、あらかじめ定めた会計期間である事業年度が終了した際、その期間内の経営成績と財産状態を確定させる必要があります。
この作業を決算と呼び、算出された利益に基づき、国や地方自治体に対して税額を報告する行為が税務申告となります。
今回は、法人の決算申告で必要となる具体的な書類の種類と、申告完了に至るまでの流れについて解説します。
法人は原則として、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、法人税や消費税などの申告書を提出し、納税を済ませなければなりません。
この2か月という期間は、日々の帳簿を締め切り、領収書や請求書を精査し、膨大な別表を作成するには決して十分な時間ではありません。
もし災害や帳簿の整理が間に合わないといった正当な理由がある場合には、事前に申請を行うことで期限の延長が認められる制度もあります。
しかし、納税の期限そのものは延長されないことが多いため、利息にあたる税金の発生を防ぐためには、早期の着手が不可欠です。
決算申告に際して提出が求められる書類は、次のとおりです。
税務署へ提出する申告書の添付書類として、まず株主総会などで承認された決算書一式が必要です。
■貸借対照表
期末時点での資産、負債、および純資産の状況を記した書類です。
■損益計算書
1年間の収益と費用を対比させ、最終的な当期純利益を算出したものです。
■株主資本等変動計算書
純資産の項目が会計期間中にどのように変動したかを記録した書面です。
■個別注記表
重要な会計方針や、関連当事者との取引内容などを文章で補足する資料です。
上記の書類を作成するには、預金残高や棚卸資産の数値を、銀行の証明書や実地の調査結果と照らし合わせる必要があります。
法人の所得は、会計上の利益に税務上の調整(加算や減算)を加えて算出されます。
この調整内容を詳細に記載するのが法人税申告書の別表です。
■別表1:各事業年度の所得に係る申告書
申告書の表紙にあたる書類で、最終的な納税額や振込先などを記載します。
■別表2: 同族会社等の判定に関する明細書
株主の構成を報告し、法律上の同族会社に該当するかを判定する資料です。
■別表4: 所得の金額の計算に関する明細書
会計上の純利益と税務上の所得の差を、加算や減算の手法を用いて調整する重要な計算表です。
■別表5(1):利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
税務上の貸借対照表としての役割を持ち、利益の蓄積状況を管理します。
■別表5(2): 租税公課の納付状況等に関する明細書
法人税や事業税などの納付履歴を記録する明細書です。
この他にも、交際費の計算や減価償却の状況に応じて、数十種類に及ぶ別表の中から必要なものを選択して作成する必要があります。
税務署が申告内容の妥当性を判断するために、より細かな情報を補足する書類も提出しなければなりません。
勘定科目内訳明細書とは、預貯金の金融機関名、売掛金や買掛金の取引先名、および借入金の返済条件などを、勘定科目ごとに個別に記述したものです。
帳簿の数字が架空のものでないことを証明するための客観的な資料として機能します。
法人事業概況説明書は、事業の具体的な内容、主要な取引先、従業員の推移、および月別の売上高などを、統計的な視点でまとめた書類です。
決算申告は次の手順で行います。
期末特有の会計処理、すなわち決算整理を行います。
売掛金の回収可能性を診断した貸倒引当金の計上、棚卸資産の評価、および減価償却費の算出などが該当します。
また、未払いの費用や未収の収益を、発生主義の原則に基づいて正しく期間配分する作業を丁寧に進めます。
この段階を経て会計上の最終的な利益が確定されます。
確定した会計上の利益に対し、法人税法に基づいた税務調整を行います。
交際費の損金不算入額を算出したり、役員報酬の適正性を確認したりする作業です。
税法の基準に沿って別表を埋めていき、最終的な所得金額と税額を導き出します。
作成された申告書類の内容を代表者が確認し、承認した上で、税務署等への提出を行います。
現代の法人実務においては、e-Tax(国税)およびeLTAX(地方税)を利用した電子申告が一般的です。
デジタルデータで送信することで、書面を郵送する手間を省き、迅速な受理が可能となります。
送信完了後は、受信通知を確実に保存し、申告の証拠として保管する段階が必要です。
申告書の提出と同時に、算出された税額を納付します。
納付方法には、銀行窓口での支払いのほか、インターネットバンキングを利用したダイレクト納付や、クレジットカードでの決済も選択可能です。
今回は、法人の決算申告に必要となる主要な書類の種類と、手続きの具体的な流れについて解説しました。
決算申告は年度の成果を公的に証明する最も重要な作業です。
自社内での対応に限界を感じたり、計算の正確性に不安を覚えたりした際は、早い段階で税理士に相談することが大切です。